8月01日に第二回研究会を本郷で開催します
※東京大学GCOE 都市空間の持続再生学の展開 C2:東京計画2050との共催です.
比較的大きな背景みたいなもの,およびプロジェクトの狙い:
文明装置としての車を最大限生かすための都市とそのガバナンス.
そうした20世紀の仕組みは,21世紀に入って大きく変化しようとしています.
わが国における(絶望的なほどの)就業人口の減少,
女性や前期高齢者が働きやすい社会移動空間の模索,
老朽化が予想される都市インフラのリスク管理,自転車やEVを最大限に
生かした低炭素型都市のモビリティデザイン,きめ細かな交流を前提にし
た魅力的な移動風景の再生,スピード感のある都市計画とそのマネジメントの実現.
私たちの都市の未来を巡るこうした多相的な問題と向き合うとき,
かつて焼け野原となった私たちの国土を目の前にして天才角栄が考え出した
「均衡ある国土の発展」という目標,そして道路特定財源を最大限に生かしたそのための社会システムを,
次の100年に向けてより高度に再展開していく必要があることに気づくはずです.
道路計画や都市交通計画といわれている分野では長らくの間,アンケー
ト調査を基本にゾーン一括りにした観測-モデルシステムが用い
られてきました.そこでは概ね,1平方km程度の空間単位と10年-3年に一
度という大掛かりな観測-計画スケールが無意識に設定され,平均的な
一日を再現し予測すべく,性別や年齢を基本にした予測と計画がなされ
てきました.しかしかつては十人一色といわれた社会構造は一人十色と
多様化しています.ケビン・リンチやヤン・ゲールの名著を引用する
までもなく,町を少しでも自分の足で実際に歩いてみれば,道路という
都市空間はまちの魅力を高めると共に,公の精神を涵養する上で根幹と
なりえるきわめて重要な装置だと気づくはずです.であるが故に,
確かに通勤通学の混雑緩和は重要な政策課題ですが,アンケートによる
母集団の代表性と平均的な一日を想定した従前の道路交通計画を金科玉条
のように唱えるだけでは,21世紀の都市を構想するのに十分とはいえないでしょう.
おそらくは,先に述べたような多相化する政策課題に対して
最適解とはいわないまでも,もっと豊かな政策アイデアを,もっとスピー
ド感をもって考えていく必要があって,その際,まったく新たな観測-
モデルシステムを私たちは必要としているのではないでしょうか.
このような問題意識を下敷きに,本研究プロジェクトでは,国勢調査や道
路交通センサスやPTなどの既存調査と,プローブパーソン技術(※)を
基本にした高精度・長期間行動データを組み合わせたデータフュージョ
ン理論を援用したまったく新しい都市空間における総合移動活動モニ
タリング-分析手法の確立を目指したいと思っています.このプロジェクト
は2009年4月〜2013年3月の4年間にわたって行うもので,
GPS携帯電話や低エネルギー消費型の行動センシングデータ技術,
day-to-dayの長期パネルデータの統計解析技術,
大規模DBと一体化したスーパーマイクロシミュレーションや行動文脈解析検索エンジンの開発
によって実装された諸システムを援用しながら
自転車の共同利用やオークション型交通サービスや交通環境ポイント,
モビリティメッシュネットワークなどの様々な交通サービスの展開を
考えてみたいと思っています(2009年4月10日本郷の居室にて,羽藤).
※ 本研究プロジェクトは科研基盤A(課題番号:15206059)
day-to-dayの動的な行動調査・解析システムの開発-移動体通信システムによる大規模な
位置特定データベースを基本にして-(代表:羽藤英二)を下敷きに行います.