第二回科研基盤A集会の記録
第6回 BinNセミナー -今何を観測しモデル化すべきか-
/~hato/kaken/kaken.html
日時:2009年8月10日(土),1030-1600
場所:東京大学工学14号館144教室@本郷
主催:科研基盤A プローブ技術を援用したデータフュージョン理論に
よる総合的交通行動調査の高度化(代表:羽藤英二)
主な討議者
羽藤英二(東京大学):代表者
柏谷増男(愛媛大学):都市計画が専門
朝倉康夫(神戸大学):交通工学が専門
森川高行(名古屋大学):SPの泰斗
谷口守(筑波大学):都市計画が専門,コンパクトシティ論に詳しい.
毛利雄一(IBS):需要予測をしている.
力石真(広島大学):分析が好き.
佐々木邦明(山梨大学):ナッジでしょ.
倉内慎也(愛媛大学):融合推定と認知科学に関心があります.
三谷卓磨(東京大学):今はLCAやっています.
日比野克彦(政策大学院大学):今は観光研究などをしています.
薄井智貴(東京大学):プローブ研究一筋です.
上田孝行(東京大学):モデルの人.
羽藤:
科研集会のその2をはじめます.科研の基盤Aで僕が代表やったのは
2003年のときですが,最初にBCALSを開発して,PPを開発した.
当時はまだそういう技術が世の中になくて,センサーをたくさん筐体の
中に押し込んで,故障ばっかしでしたし,大赤字だったけど,なんかい
ろいろ計測できて,国際学会なんかで発表すると受けた.というレベル.
ライフログといわれている研究の走りだと思う.でも今はもう測れるの
は当たり前で,むしろポータブル化とか,サービスインテグレートにつ
ながってきていて,もう一回今年から2012年まで基盤Aの代表をやるこ
とになって,今度は何をやるかということは前回話したんだけど,何を
やるかという前に,ちょっとだけ今の時代感について考えてみたい.
そもそも私たちの分野って言うのは,理論的なアプローチでやってきて
いて,1960年代にThe prigogine-herman kinetic modelっていうのがあ
って,ボルツマン方程式を援用したトラフィックフローモデルなんだけ
ど,二相流モデルによる一般街路モデルで,ナビエストークがマクロ系
なのに対して,ボルツマンはミクロ系で兎も角疎な交通流を記述する積
分微分方程式が提案されている.
Robert Hermanとその仲間たちの中には,線形加速器による高エネルギ
ー電子散乱の研究と核子の構造で物理学賞をもらったRobert Hofstadter
や,Hermanの宇宙マイクロ波背景放射の予言を証明したPenzias and
Wilson(物理学賞)などがいて,兎に角研究が学際的であり活発だった
し,数理解析的におもしろい話がごろごろしていた.
今は,「情報処理」から「情報管理」に,「モデル」から「データ」へ,
データドリブンな社会,「データこそが最後に残る真の資産」であり,
「データからの戦略的な価値の抽出が最も重要な役割を果たす」という
考え方だったり,情報蓄積量が約1.8ゼッタ(10の21乗)バイト になっ
て,「データインテンシブなサイエンス」 への大転換期だとかいろい
ろいえる.だけどデータだけとってもしょうがないって話がある.
理論失くして観測ナシという言葉はあるけれど,SPやパネルが出始め
て,差分方程式系で学習メカニズムを記述しようというような話が当時
あったりした.ああいうアプローチは実験経済学的な方向性と,プロー
ブのような世界へ向かうわけだけど,どちらかといえば,我々の分野で
は政策を向いた研究テーマが多くて,なかなかそうしう手法論が深まっ
ていかないし,モデル的なところに関心を持つ人も減ってしまったとい
う気がしている.
ただ,そういう現状認識があるにはあるのだけれど,そこに危機感を持
っているというよりは,僕自身はそこのところは楽観的で,データもモ
デルもそろそろ,抜本的にリプレイスできる時代感じゃないかと思って
いて,なぜかというとそのためのデータ獲得のための要素技術や数理的
な手法論も進化してきているし,寧ろ政策論と一体化できるところもあ
るのではないかと思っています.今日は,そのあたりを念頭におきなが
ら,モデルと政策,データと政策について都市計画や土木計画学に今求
められているものについていろいろ議論できればと思っています.
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毛利:社会資本整備の現場で求められているもの.
社会資本整備を取り巻く日本の現状を考えると,1)人口減少,2)財
政赤字,3)公共事業に対する国民不信,4)政治・行政の動きがある.
人口減少は2004年にピークで減少局面に移行しつつある.2050年に1億
人を割り込み,高齢化率は40%越える.地域別の人口の減り方に着目す
ることが重要で,人口が一番減るのは秋田.北東北は2030年に
0.776,四国は0.816となる.事業評価しようとしているところが人口減
少が著しいのが難しいところ.
財政赤字は税収でまかなえているのは6割強で,約3割は将来世代の負
担である.公債残高553兆円で,高齢化進展に伴う社会保障費増が問題
である.Ig/GDPの推移は1995年6%から今は3%で海外と同じ水準になっ
た.社会保障費はあがってきていて,公共事業と教育費がイコールにな
りつつある.
公共事業に対する国民不信,道路中期計画65兆円(平成20年度から29年
度)が出された.平成20年の春の(ガソリン)国会で,平成17年の新し
い道路交通センサスに基づく将来需要推計では,交通量を下方修正され
る(国土交通大臣に対する道路交通センサス,免許保有推計に関するコー
ホート」に関する質問)と指摘された.中期計画の前提条件が崩れてい
るという議論になった.すべての道路財源を一般会計化し,暫定税率2.
6兆を高速道路の償還にあてるという意見が出された.B/Cの時間価値
設定(時給3700円)に関する問題が指摘された.道路をどうするか(小
川明雄・五十嵐敬喜)における可住地面積で道路延長を割ると,ドイツ
の2倍程度になる,あるいはIg/GDPは6%で高い(現在は同じ),可住地
面積で道路投資額を割ると95.6百万円で諸外国の10倍以上であるという
主張がある.
政治の動きでは,揮発油税を道路整備に使うことをやめる法案が可決さ
れた.法案の中では,道路関連支出の無駄の排除,特定財源の廃止,新
たな中期計画(集中と選択の基本的な方向性とアウトカムの設定により
社会資本整備重点計画(5年)と一体化する),地域の基盤整備(地方
道路整備臨時交付金に変わるものとして,地域活力基盤創造交付金),
既存道路ネットワークの有効活用と機能強化(高速道路割り引き,距離
料金導入),一般財源にともなう関係税率のありかたが示された.様々
な政策がなされているが,エビデンスに基づいて政策実行がなされてい
ない.
行政の動きでは,3月31日にB/Cの値が1以下の18事業の凍結(コスト削
減など事業評価の見直しなどの検討を行い,再評価を実施して事業継続
の可否を決定する予定).7月28日には2ヶ月で再評価という話になって
凍結区間はすべて解除された.
自動車交通需要予測に関連する指標として,GDPが増えているし,免
許保有者数(特に高齢者,女性)が増えてきている.貨物車の保有台数
が微減し,乗用車の保有台数は増えているが微増だが,四国ではじめて
去年減少となった.でも実はその中身は軽乗用車をのぞけば全国でも減
少傾向にある.軽乗用車の利用の半数以上は女性の既婚者である.西日
本で特に軽乗用車の保有率が高く,道路整備率と関係しているかもしれ
ない.今の若い人は外に出ないし,車に乗らないという車離れの傾向が
あるのではないだろうか.貨物は2000年以降,基本減少,1トンあたり
の付加価値は増加,物流の中で9割は貨物による移動.
過去の予測はGDPの当たり外れでずれが生じる.人口,免許,貨物,
軽自動車や高齢者/女性の移動を踏まえて予測する.真面目に計算する
と,人口は減るけれど,免許保有は増えるので交通需要は増えるという
V字予測になる.ガソリン価格の弾力性を加味すると,V字ではなくて
緩やかな需要減少という結果が予測できる.要するに予測には幅があっ
て,その幅の中で低位予測値を用いた.という経緯がある.需要推計は
量だけでなく質が重要.迅速かつ柔軟なモニタリングが重要である.
道路事業評価においては時間価値の見直しがなされて,62.86円(平成
15年)が,40.10円/分・台(平成20年)になった.諸外国における事業
評価は,日本は三便益(走行時間短縮,走行費用減少,交通事故)で評
価しているが,もう少し多様な評価を行っている.地方は三便益では成
り立っていかないのは明らかであるという地方の主張がある.東北では
救急救命センターへのアクセスや豪雪,車依存を考えて便益評価を見直
すべき.
可住地面積についてもう一度考える.国際比較を正確にしてみる.たと
えば60km/h以上のネットワークでみると,道路面積はそれは諸外国にく
らべ整備されているとは言いがたい.
今問われている計画論と計画技術.交通調査,交通需要予測,評価(B/C)
などの技術的なキーワードに関する議論があった.甘い予測,非科学的
な,より信頼性の高い,これが今回の国会では,無駄な,水増し,利権
といわれてしまう.信頼確保が重要である.国民の理解を得る,効果を
最大限発揮,社会経済への貢献,次世代への影響を考えた合理性が重要.
単なる知識の向上だけでは駄目ではないか.
行政,政治に提言できる先行的な政策研究が重要で,財源制約,人口減
少,少子高齢化などの制約条件下で,持続可能な社会資本整備を国民の
理解を踏まえて,どのように行っていく.
かつては計画をたてる(絵空ごと)が仕事だったが,今は地域が困って
いることをどうやって解決するかが重要である.そういう考えの行政担
当者は少ない.政治マスコミを批判しているだけでは駄目で,これまで
の政策の良かったところ,悪かったところを明確に,政策の評価は,理
論データを用いた分析が重要である.
財源の使い方と考え方が重要である.米国の道路投資推移は,事業費が
1985年にピーク時に3割減った後,ISTEA,TEA−21,SAF
ETEA−LUが出てきて,投資額が倍増.TMIPなどの動きが寄与
し,モデル開発がなされた.
燃料税,課金の調和化,EUは交通税との調和が重要であるという考え
方である.EUのガリレオ計画があって,それで課金していこうという
動きがある.道路優位は認めつつ,効率化を促すとともに,保有税<燃
料税<料金という考えで,それを支える計測技術という考え方である.
民主党は,暫定税率,高速道路の無料化 vs 自民党は真に必要なインフ
ラ整備,未来への投資.これをどう考えるべきだろうか.
平成22年度道路交通センサスの大改革について議論している.そのそも
道路交通センサスの調査費を半減,地方公共団体は調査費を負担できな
い.地方公共団体が反対すると(指定統計ではないので)一括調査がで
きなくなる.そもそも必要な調査データとは何か,秋の1日の交通量だ
けで分析評価できるのか,現場でいいアイデアが出せないし,少ないサ
ンプルで精度の高いOD表が作成可能か.OD表が五年ごとに全国であ
るのなんて日本だけである.OD推定は有効な方法論だが,全国規模で
観測交通量にあわせるような形で評価可能な方法論を成立させられるだ
ろうか.しかも秋の1日の交通量データで何をやっているのか.
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柏谷:道路整備見直しについていえば,85%のお金を使っている道路整
備があって,B/Cが0.5と出たときにどうするか.という不良債権の問題
で,0.5の損をとったほうがいいという話である.私たちはちゃんと反
省をしなきゃいけない.ひとつはガソリン税がドンドン入ってきたこと
に対して,道路と街路の違いを説明できるかという問題があって,道路
にゆがんで投資されてきたという問題がある.
研究者は道のあり方をちゃんと勉強しなくちゃいけないが,それが全く
なされていない.40年前に鉄道で同じような議論があった.政治がから
んで地方のローカル鉄道をどんどん作った.温故知新ではないが,技術
者のオーバースペックの問題を反省しないといけない.しかしその反省
が生かされていない.鉄道がEUにおいて復権している.そういうとこ
ろを見ないといけない.
鉄道は道路の生みの親である.アウトバーンは鉄道工学の技術で造られ
ている.そういうことを教養として勉強しないといけない.道路事業の
問題は,科学術をしっかりとしなければいけない.街の中の道路をどう
するかという問題は,元にもどって道路と街路の作り方を考えないとい
けないということだ.街路では殆ど用地買収なんてしないで,区画整理
事業で街路はやってきている.大阪府では近年10年以内につくった道路
の5割は用地買収ゼロでやってきている.
将来のこの街がどうなっていくのかということを考えていかないといけ
ない.香港が日本の未来.外部依存性が高くなって,部屋は寝るところ
だけあったらいい.ワンルームがあればいい.香港は食べ物やがたくさ
んある.そういうライフスタイルである.日本は果たしてそういう街に
なるのではないか.街中にコンビに,飲食店がある.ロンドンのような
移民もいて高級化が起きているというようなmixed useでもないし,欧
州の中心市街地のようなジェントリフィケーション(高級化)でもない.
サービス依存性の強い街,それに対する欲求がある.日本はそうなるだ
ろう.そのことをどう射程に入れるかだ.
毛利:そろそろ撤退しなくちゃいけない都市が出てくる.そういう街が
出てくる.生き残る街はどういう街なのか,集約型都市構造ではないだ
ろう.もっと低密度な都市増を描く,低炭素型都市なんていっている場
合じゃない.
森川:都市の生活者の像を描くことが大事.ちょうど午後のプレゼンテー
ションで用意していたが,交通において香港の事例もそうだが,生活者
の像を描くことがまず重要である.その上で交通を議論していくことが
求められている.
羽藤:都市工学科にいて思うのは,総体としての都市をみつめた議論が
道路の人はできていないんじゃないかということ.なんだかんだで量の
話しかしない.街路じゃなくて道路の話しかできないんじゃないかと思
う.縮退だと多孔質化みたいな複雑な移動空間みたいな都市の中の話と,
都市と都市の間の話は確かに全く違う.生活者の像をデザインするとい
うセンスが欠けているように思う.
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佐々木:行動科学WSで議論していることを今日は話したいと思ってい
る.第1回は,行動科学について,第二回は歩行者行動の話をした.第
三回は実験的行動分析の可能性,スペシャルセッションは計算行動分析,
幸福感とモビリティについて議論した.
行動分析に基づいたインフラ・制度設計が可能かどうか.という話があっ
て,分担率から車線数を決めるというような議論が可能かどうかという
問題がある.実験的な行動分析と社会的な厚生との関係性があって,学
習しても最適にならないものをどうやって最適にもっていくのかという
議論が可能になるのかという問題がある.質的分析への展開は可能か?
というのがこの研究会の目的とされているが,そういうクオリティが重
要なんだけど,本当にできるのだろうか.調査方法論の展開(データの
とりかた)というような問題意識がある.
浅野の研究では障害物と歩行者の移動速度分布を眺めると(分析すると),
離散選択モデルを使って,空間設計ができるのではないかという問題意
識によっている.羽鳥の研究では,記憶を頼りにした資源配分問題では,
どのように主観的に可能性(機会・選択.イベント)をグループ化して
いるかに依存して,資源配分結果は異なる.こういう知見をもとにする
と制度設計が可能になるのではないか.
Heresthetic(選択構造の操作)というものが(政治学では)重要で,
決定が下される構造の操作が重要である.意思決定者が直面する具体的
な状況や選択構造それ自体の操作,あるいは意思決定者が自分の望まし
い側に選択を自発的に行うように選択構造を操作することが重要だと思
う.
Nudge(Thaler, 2009):背中押し,人の行動を促すように軽くこずく.
といったような現象がおもしろい.あるいは,Choice Architect(Thaler,
2009)になるための研究が重要ではないか.人々が意思決定をする文脈
を体系化して整理する「ある特定の目的をもってデザインを行い,自然
に意思決定者がある方向に選択するような仕組み(デザイン)を行う」
学生のキャフェテリアの設計では利益を最大化するような並べ方をする,
自分で選ぶであろう食品をとりやすくするなどがこれにあたるであろう.
極端性回避の例だが,松竹梅のような選択と上と並の選択で,前者では
竹が,後者では並が増える.選択回避では多数の選択しによる満足度の
向上につながるし,ランダム効用モデルでもそういう仮定がなされてい
る.7つの選択肢とその3倍の選択肢を設定すると,7つの選択しのほう
が満足度が高い.マキシマイザーには,リグレットアバージョンが起こ
るためである.
土木計画学研究とNudge,燃費フィードバック,エコポイント,パター
ナリズムはどこまで許されるか(生き残るまち,低炭素型都市),
Thalerの提唱はリバタリアンパターナリズムだったら許されるというこ
となのか.選択させてるんだからいいんじゃないのという議論と,どこ
までおせっかいは許されるのか.という問題がある.
土木計画学のための行動科学とはFeel Good State(民主党の政策とし
て,クリントンさんがセラポクラシーを言っていた).環境のコントロー
ルによる選択の誘導.不安のポピュリズムへの対抗には,市民の積極的
政治参加を通じて構築し,情報非対称性の制御などで対抗するといっや
宮台的なアプローチはある.
何かのために,どいう行動研究なのか,それとも行動自体に興味がある
のか.公平.平等の原則に反しない制度設計は無理(コンドルセ),政
治は法を守ることが意味を持つ社会にする(ウエーバー)という考え方
もあるだろう.
目的論のために,社会的に望ましい状態を背中押しする(資源配分の効
率,不公平性),適切な制度設計が重要だけど,そもそも主観的幸福感
は社会厚生を評価できるか.レイヤードによる幸福に影響を与える7要
因(家計,家族,雇用,コミュニティと友人,健康,自由,価値観.で
も結局数個幸せならいいという考え方などがある.
そういえばあのBen-Akiva(and Maya)も,Happinessと行動修正に関する
研究をはじめた.その計測法はKahnemanによるDRM(Day
Reconstracution Method),FreyのLife satisfactionなどがある.
終わりなき夏休みの昆虫採集(山岸),一般的な法則性を見出したり,
理論家することがおろそかに.シミュレーション研究は「やってみたら,
こうなりました」にとどまる.行動科学はそのあたりを受け止めていき
たい.Narrative Approachの質的研究の可能性を考えていくべき.
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柏谷:昔の行動科学はわかりやすかった.コカコーラ対ペプシでどっち
が勝つかという問題だが,今の話は組み立てが複雑で大きなテーマを考
えている.だとすると他の社会科学と比べて有利なところは何かがよく
わからない.データマイニングではそのあたりがすごいお金でやられて
いるので勝てないのではないか.
佐々木:えーと,それは何が違うかというと困るんですが.
原:そもそもINFORMSの会議なんかでは,あんまりためらいがない.記
述できれば兎に角いいという考えが徹底されている.土木計画学ではパ
ターナリズムではないか.
倉内:認知で制度設計を考えると,お互い影響を受けるので,制度その
ものも変わってくる.
朝倉:Choice Architectが体系的に教えられるか,既にそういう職業は
あるだろう.何を勉強すべきか?choice analysitではない.
佐々木:基本的には,行動原理を良く学びなさいということ.行動科学
では設計できない.
森川:制度設計とarchitectは違う.ロードプライシングを導入する.
そういう率にとっていくための設計.いかさまみたいな話.選択肢の数
は減らさない,効用が下がるので,フィールグッドを考える.そのため
の構成をよく考えるということが重要だと思う.
羽藤:思考があるかないかでいえばなかった.認知の組み合わせをもう
少し丁寧に眺めて,どうやってその目標値を達成するのかをきめ細かく
構造化して考えるのがChoice Architectで,数値なし観測ナシではなん
の説得力もないのではないか.おもしろいと思う.
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倉内:PTは行動軌跡が断片的で精度も低い.特に長期の調査は困難,
低頻度トリップや変動を捉えられない,記入漏れ,記述誤りが多いとい
う問題がある.PPは精確かつ詳細な行動記録が可能,他用途への適用
可能性が高いが,サンプルが偏る恐れがある.
両者は補完的な性質があるので,データフュージョンの可能性がある.
出発地/目的地の特定精度に伴うLOS変数の誤差の問題に着目してい
る.ゾーニングによるLOS変数の誤差の把握,誤差が交通手段選択モ
デルの推定に及ぼす影響などが重要だと思う.
ゾーンによる空間集計誤差がPTには発生するし,アクセス距離を過小
評価するので,過大予測しやすいことが過去の研究により明らかになっ
ている.またゾーニングの問題は解析的に分析できないといった問題が
ある.
名古屋のアンケート分析では,ゾーンが大きくなるにつれて相関が低下
(誤差が大きくなる),小ゾーンでも実際のアクセス距離との誤差が大
きい.正しいLOSデータを使ったモデル(ゾーンサイズが小さい)の
方が精度が高いし,アクセス時間のパラメータ値がいい.個人属性のパ
ラメータ値は悪くなる.セントロイドに集計してしあうと,LOSは同
じでも選択結果が異なるという違いが生じるためである.時間価値には
ゾーンサイズによる差は少ない.
こうした問題をどのように解決するかについて,SPデータを援用する,
プローブデータを使う,山本(2005)の活用が考えられる.地点間のLO
Sについての誤差がない状態でSP調査は反応データを得ることが可能.
ただ信頼性の問題がある.RP/SP融合推定は不適切で,SPからLOS
変数のパラメータを推定しRPへ移植するのが適切.人口統計データか
らODを確率的に与える潜在クラスモデルもありえる.
回帰分析の操作変数法をPPについてやってみた.測定誤差と観測値が
無相関であればバイアスは生じない.誤差項と相関がないと思われる説
明変数(人口密度,鉄道駅数,学校の数)で重回帰を行うとバイアスが
生じない(誤差項(各ゾーンのサービスレベル変数-座標ベースのサー
ビスレベル変数)を回帰してやる).
PPから測定誤差がわかるため,測定誤差に起因するバイアスついては
検証可能.測定誤差を回帰できる.問題は誤差の回帰がうまくいかない
点である.シェアの予測レベルでは交通機関選択ではある程度安定.観
測誤差の考察は必ずしもPPでなくてもよい.
SPとRPの融合推定のような方法は難しい.PTとPPのサンプル数
が異なるので,単純な融合が難しいということ.拡大のための同時分布
を得るためのPTの活用.トレンドを組み込むためにPTを活用するの
がいいのではないか.移動環境と行動の関係性についてはなかなか難し
い.
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佐々木:説明変数に誤差があるというモデルでは駄目なのか?あるいは
PTとPPの融合はB/Cはよくないということでいいのか?
倉内:ジオコーディングでやれば真値がわかれば不要.自宅や勤務地で
住所がわかっていればいい.誤差の分布がわかればいい.
日々野:モデルの精度が上がっていくんだけど,細かくしていくことの
意味は何か?モデルのパラメータ推定について100mメッシュにするこ
とができるんだけど,人口の問題の方が重要.時間帯別の問題などなら
ありだけれど.
羽藤:空間システムの評価では,アクセス,イグレスをデザインしてい
く必要が高いし,そういうサービス,マルチモーダルシェアリングやパー
ソナルモビリティのようなシステムの評価にジオコーディングをベース
にしたモデルが重要で,そこの部分はPPの補正で結構よくなると思う.
それにしても,どうも話がずれていると感じるのは長期の需要予測をやっ
てきた人が多くて,短期の施策,質の施策をどう評価するか,どう制御
するのかというところで何をすべきかという議論にならないのが問題で
はないかと思う.
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三谷:PTとPP融合型交通量配分の適用と評価.
マルチモーダルの表現,マイクロ-マクロシミュレーション,トリップ-
日単位(トリップチェイン)を一体的に処理,ゾーンからドットへ,逐
次的に更新されるデータベースの利用.マイクロシミュレーションによ
る交通施策評価を目指していきたい.
取得生情報,インプット,交通行動分析,マイクロシミュレーション,
アウトプット,施策評価というデータフローをオンラインで計算してい
くようなオンライン型情報統合プラットフォームを構築する必要がある.
アルゴリズムの開発,並列処理,言語は計算時間短縮が必要なのでCで
実装するつもりである.PPとPTのデータフュージョンの中で交通量
配分をやるんだけど,動的OD推定に経路選択肢集合をPPで限定して
やるとどこまで精度があがるのか.という計算をしてみる.
OD推定をすると精度はあがった.何もしない場合はRSMEは109だ
が,PPとPTでOD推定するとRSMEは54.5まで改善する.
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倉内先生の道路環境データが入手できないという問題について,PPデ
ータを使って自動的に環境データを生成できるかどうかを見てみた.右
折レーン長や右折信号や左折専用レーンの評価が自動的に可能.時間帯
別の交通環境データの推定可能性な感じがある.自動パラメータリゼー
ションが可能かもしれない.
薄井:OD交通量の生成方法はPPでは観測できないはずなんだけど,
どうしているのか?
三谷:OD交通量はあくまでPTを使っている.経路空間をPPで限定
した上で収束計算を行い補正している.それと時間帯,トリップ長の拡
大係数でPPを使っている.
倉内:パーソンは短距離トリップが落ちやすいという話だと(徒歩とか
そういうのはどうでもいいのではないかという話もある),とすれば長
距離トリップが過大推計してしまうことになるのではいか.
森川:距離帯別,内々/内外はどういう結果なのか?距離が短いもの,
夜の食事がとれているように見えるので,しっかり補正することを考え
たほうがいい.
毛利:内々を一生懸命とるだけだともったいない.時間帯別のOD表を
精確にやるためならわかりやすい.何の政策が評価できるか.
羽藤:PPとPTの融合推定では,まず1)アクセス,イグレスのパラ
メータが精確に推定できるバイアスがなくなるという点にある.ここの
部分はモビリティシェアリングなどの評価には必要不可欠だし,そうい
う粒度の細かいデータニーズが現場では高い.次に2)ある地区の空間
交通システムをメゾスケールくらいで考えるとき,いわゆる内々の交通
戦略を考えるようなケースでx,yベースのデータは必要不可欠だろう,
最後に3)経路空間を固定できるのでOD推定の計算幅を限定できるの
がPP/PTの融合推定の最大の特徴である.で,こうした利点は総合
交通戦略においては必要不可欠であるというのが経験上,私の考えであ
る.
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力石:活動・交通行動の変動特性
施策検討プロセスの狙いは,行動を規定する重要な情報を保持しつつ,
容易に理解,操作可能なレベルまで情報を抽出/集約することにある.
交通現象からデータ,データからモデルというプロセスに着目した研究
を行う.
データが取り出される場合,経日変動,個人内変動が捨象されるし,個
人間変動や世帯間変動がゾーン集約されるので,PT+四段階推定では
この部分が表現できない.世帯間変動(Goulias, 2002),経日変動など
様々な変動研究がなされてきた.ここではこうした様々な変動の間の関
係性を分析する.
マルチレベル分析:異なる水準にある各種要因の影響を,各々に対応す
るランダム変数を導入することによって扱う解析方法(MDCEVモデ
ル(Bhat:2005, 2008)を使って,サンプル間の共分散構造を分析.
Movideriveデータ(Axhausen et al, 2002)を使って分析,アクション
スペースやModal mixの分析が既に行われている.本研究では空間変動
は,ゾーン単位で離散かし分析した(本来は連続空間で分析することが
望ましい)
空間では,個人内変動が圧倒的に大きい,その割合は帰宅トリップにお
いて顕著で,学校への移動は空間変動や,個人間変動が大きい(??な
んで).活動発生では,学校トリップで個人間変動が大きい,時間利用
は,必須トリップで世帯間変動が大きい.
交通現象からデータに落とす段階で,多くの変動成分が落ちてしまう.
様々な説明変数の分散に対する説明力を分析した.交通行動の変動構造
を分析した結果,ゾーン単位に落とし込むと全変動に対する影響を議論
できる.
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森川:長期調査はなんで可能なのか?トリップ原単位が大きい理由は?
力石:分散分析ではサンプル数がそろっていないといけないんだけど,
より柔軟な方法だと思う,トリップの確認を電話でしてしつこく補正し
ているのが大きな特徴である.調査員のフォローが多いのではないかと
思う.
羽藤:結局,(以前,やったモデルでは人数と日数のデータがどの程度
のバリエーションを示しえるかをPPで分析しているんだけど)Pasの
ように変動を考慮したサンプリングデザインにもっていかないといけな
いし,そこが有望だと思う.
朝倉:でも逆に,そうやってそ不完全なデータからモデルを作らざるを
得ないことを考えると,モデルのバイアスがどこかがわかるのではない
かということに思い当たる.これはパラメータの弱いところがわかると
いうことだろう.また活動発生プロセスの調査項目のモデルが重要とい
うのはわかるが大丈夫か.あまりいいモデルがないように思う.
羽藤:山本さんも行っていたが,アクティビティモデルは,反応-刺激
モデルのような領域に入っていくのではないかと思っている.アクティ
ビティの選択肢構造を同定するのは難しくても変化ならモデル化できる
だろう.長期系列データは差分方程式系でそのあたりをターゲットにす
べきではないだろうか.
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朝倉:A tiger meets a dragon.研究者コミュニティには,理論とデー
タ,行動とネットワークという2軸がある.個人 vs 集計,行動 vs ネッ
トワークというような論点があるだろう.理論/ネットワーク→行動/デー
タへというのが私の関心の変化です.それに対してドラゴンは行動/理
論→ネットワーク/データという動きの中で,Bhevior in Netowrksにい
ろんな研究者は割り当てられる.学際競争と国際競争.学術分野として,
respectがないと,社会的発言はrepectされない.国際競争に勝てるよ
うな学術分野でなければならない.国際競争に勝てる体質を強化しよう.
交通理論に関するまともな国際会議.ISTTT(50 years),
IATBR(25years),TRISTAN(20 years) あたりが相当するように思う.
この前香港で開催されたISTTTのトピックスは交通流理論,交通制御,
交通現象のダイナミクス,情報提供などがメインで行動モデルに関する
研究も加わりつつある.
Foudersが誰かというのを桑原先生が会議でプレゼンテーションで説明.
プリゴジン,佐々木綱,ワードロップ,ベックマン,ハーマン,ニュー
ウェルなどのメンバーが創始者.
Daganzoが司会でBeckman,Haniなどが,繰り返し述べたのは温故知新で
ある.もうひとつはデータで検証することが重要である.German Hobby
批判は検証されればあたらないだろう.
Urabanspaceの動きをday-to-dayという軸を加える.spaceとtimeを考え
ることが重要ではないだろうか.ネットワークモデルの議論の出発点は
面的な広がりであったが,フローでは面的な表現を捨象して時間に集中
したモデル化を行ってきた.ここに行動モデルが加わる.
現象記述モデルがあって,ロジットモデル,均衡配分,待ち行列理論が
大きな成果だろう.これかが掛け合わされることで,多様な政策評価が
可能になった.そして今,確率,動学化,シミュレーションがキーワー
ドである.どういう要素を確率現象をモデル化するのか,そのことの意
味は何か?
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森川:
需要分析ははたしてデータオリエンテッドな道筋をたどってきたのか?
ということを振りかえってみたい.集計モデルの時代は大変データオリ
エンテッドだった.パーソンで多量のデータを収集・.データに意味を
持たせれば,後はその値を「適当」に予測するモデルがあればいい.分
担率曲線などはその例.
非集計モデルの出現は,意味の乏しいデータを意味のがあるモデルの同
定に使う.ある個人があるっ状況で車を選択したという個別のデータに
意味はない.
パネルデータとSPデータの利用.パネルは同一個人の状況依存性や個
人性をもたせたモデルを構築できる可能性がある.SPも同様に,同一
個人から仮想的なシナリオに対する反応を分析できる.
コンジョイント分析では実験計画法に基づいて行うんだけど,輸入して
も属性間のトレードオフをどの程度考えて行動しているのかについて,
よくわからないところもある.意思決定の時間タイミングもわからない.
スキャンパネルデータはスーパーマーケットの購買データ分析のアプロー
チで,RPなどでも利用可能.だけど私たちのデータでは状況が変わら
ない中でパネルでとってやってきている.何ができてきているのか.
離散選択モデルが進化したが,ここのところランダム係数モデルが,デー
タもある,推定法もある.これで終わり?何もおもしろくない.と
ころが,,交通政策を評価するためには,金森君のアクティビティ配分
などあるけれど,でかくなっただけで,今後何したらいいのか.
データの出現,ライフログ,意味性の薄い多量のデータ.非集計ですら
トリップ単位で意味をもたせていた.しかしライフログは徹頭徹尾意味
がない.脈拍とか,,,データの大量性を生かすならモデルに意味をも
たせるか,あるいは,モデルに意味なくてもいいから,ブラックボック
スにいれて,ソフトコンピューティングでやっていくという道もある.
プローブデータはだいぶいじったけど,何がわかるようになったのか.
というと経路や,詳細な目的地,速度/加速度,漏れのない連続的なト
リップがわかる.但し補完的調査が必要.手法オリエンテッド.
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毛利:実務で何をやっているかというと需要予測が前提で,教科書で習っ
てきた長期の未来の予測で,それが仕事である.研究レベルでは現状の
記述を精確にする.実務は未来を予測する.ということなので,話がず
いぶん違う.変数そのものの不確実性という問題がある.ざっくりとし
た分析にならざるを得ない.GDPとかのほうが重要.均衡配分とかあ
るんだけど.B/C,あんなものがなければどうでもいいんだよ.きめれ
ばいい.右肩あがりだった,需要予測の問題がなかったんじゃないかと
思う.
羽藤:まあ毛利さんの言っていることはわかるんだけど,やっぱり視野
が道路だし,長期じゃないでしょうか.プローブが得意としているのは
短期の問題だろうと思う.パーキングデポジットやモビリティシェアリ
ングなどのサービスインテグレート,日々の管理である.そういう問題
の重要性がクローズアップされてきていて,長期予測というけれど,量
の問題なんかはこういう需要減の状況では重要でないし,フローモデル
の出番も長期予測の中ではそれほど高くないと思う.問題はこういう技
術をやろうとすると人が育たないということ.ORACLEがわかって,統計
がわかって,最適化も行動理論もわかっていないとスピード感のある政
策評価はできない.でも研究者が賢くなったのか,育っているのか,テー
マへの反応性はどうかといわれると厳しい.データ弄っていない連中が
しかし賢くなっているのか.そのあたりは森川先生どうですか.
森川:
P-DRGSを産学連携で5年間やってきた.結果としてプローブカーをきち
んと走らせることができた.台数でマックス3000台を動かした.専用の
車積機でやってきたのがタクシー無線に変化した.経路案内を蓄積デー
タで予測型情報提供を可能にした.右左折所要時間,5分単位など,細か
な予測を可能にした.ウエブ版,携帯向けの開発を行った.市販のナビ
と比較して性能はもっともいいという結果を得た(特に到着予想時間が
正確).
さらにプローブカーを使いながら市民参加,MM,プローブパーソンな
どへ発展,トラックエコルートへの応用.蓄積は重要.課題はナビだが,
名古屋地区だけでは難しい.グリーンモビリティ,パーキングデポジッ
ト,実装型の研究をやってきた.
これからやりたいことは何かというと,観測から予想を超える,パーソ
ナルモビリティの革新,人の幸せについて考えてみたいと思っている.
毛利:だけど,ETCの1年分データは扱えない.去年の連休と比較し
たいと思ってもできないというかんじがある.
朝倉:大量のデータをハンドリングできる人を近くに育ててないといけ
ないんだけど,それは方法論としては駄目という評価をしてはいけない
し,なんとかしないといけない.
羽藤:でも情報処理学会では評価してくれるけれど,土木学会なんかで
はあまりデータオリエンテッドな方法論を評価する空気はない.ちょっ
ともっともらしいことを数式でいうほうが歩留まりがいい空気感がない
ですかね.
谷口:縮退するにあわせなくてもいいのではないか.アジアもあるんだ
しとは思う.その反面,スピード感がテーマにでてきていて,サンプリ
ングなんかもめちゃめちゃでどんどん分析結果が出てくる.ああいうの
はいかがなものかと思うんだけど.急な時代変化に対する行動変化をど
うやって表現するのか,ゲリラ的な方法論はないかと思う.
朝倉:交通行動の観測は昆虫採取の道具ができた.でも新しい虫はとれ
たのか?という問題だろうと思う.ラグランジュ型とオイラー型がある.
観測なくして理論ナシ,理論なくして観測ナシだが,,,大量で詳細な
データを前提とした新しい理論モデルの開発,高度なデータ処理技術の
評価が重要.なぜならChoice Architectのスキルとして必要だろうと思
う.それなくしてChoice Architectもへったくれもない.
何がやりたいか,何をやるべきかというと,21世紀的価値観と研究課題,
安全と共生の都市空間デザインが重要ではないだろうか.安全,効率,
環境.リスクを考えたい.危険物輸送や自然災害を想定した避難行動.
モビリティはどうやって計るべきかというようなテーマがもおもしろい
だろう.PP+SPなどがいいのではいかと思っている.
柏谷:この分野は今まで,クロスセクション分析が多くて,時系列分析
が弱かったと思う.今のままでは交通は20年後の答えが出せないんじゃ
ないか.だけどそもそも考えてみると,都市と交通の関係はself
selection問題のような話はどうなるのかということに思い当たる.都
市を調べるのか,交通を調べるのかという問題があって,日本は戦災で
やられたが,英国はレガシーためこんで分析している.でも日本も時系
列データがセンサスだと結構たまってきてもいるし,そろそろ違うので
はないか.マクロな政策.交通は派生需要だが,本源的な価値があるの
ではないか.
羽藤:いいたいことはすごく伝わる.日本だって1968年からPTを蓄積
してきた.でも1968年のPTで配分計算を今のロジックでやって,環境
が交通を決めているのか,交通から環境が選択されているのか.という
ような問題を理論的に検証するという空気がない.このあたりを北村先
生は強く指摘していたと思う.移動空間の再生のような問題は街路の問
題でもあるし,深いレベルで立体的に移動について考えられえていない.
だからおもしろいんじゃないかって思ってるんだけど.
森川:交通は派生需要っていつも講義で教えているんだけどそれは本当
だろうか.殆どの移動は派生需要というのは卑下しすぎではないかとわ
れながら思う.どこに立地するのか,どこに移動するのかについては,
殆どよく考えてみればアクセシビリティで決まっている.と考えると都
市をかたちづくりもっとも重要なものは移動に違いない.そのことこそ
をもっと科学的にデータで迫っていくべきだろう.
谷口:人の幸せって,どうなったら幸せかというのを教えてあげたい.
日本人は何が幸せかわかっていないのではないか.
森川:幸せ誘導しようとするのはfeel good stateなんだけど,,
毛利:幸せはアマルティ・センだと思うけれど,そもそも計画者は他人
とか地域の幸せを考えて計画をたてているはずだが,たてられる人がい
なくなっている.低炭素,コンパクトシティとか言葉ばかりで,それが
いい都市というのは本当か.研究と政策とのギャップがある.政策の評
価をしても褒めてくれない.
森川:某政令指定都市のマニュフェストを作った.自分の研究成果もつ
かったけど,そういう研究者は今は少ないんだろうか.どうなんだろう.
羽藤:御用学者として抽象化した議論は可能だろうが,この場所でどう
するという話については,現実と向き合うということが必要だろう.根
拠なくイデオロギーを叫んだところで,どうにもならないし,精確な議
論ができないといけない.数値的根拠は必要だと思うし,哲学も必要.
そういう一人の頭の中で,世界を知る,全体の関係性を知るというプロ
セスが必要だと思う.でもそういう人,プランナーでありデザイナーで
あり研究者という人を育てないといけない.
朝倉:いい政策,いい計画をつくってもインセンティブがないんじゃな
いか.政策をつくる人が幸せになる.というのがモチベーションだろう.
効用の理論を,線形に変化するなら罪はないと思うが,実際には,,
森川:幸せは非線形ではないか.たとえば2分の短縮なんか個人に何の
意味があるのか?個人的にはなんの価値もない.でもΣすれば意味は出
てくる.だけど実際には閾値問題などがあることは間違いない.非線形
だということ.でもめんどうだから線形にする.計画のわかりやすさで
やってきたが,非線形に踏み込まないといけないと思う.
毛利:幸せは格差の問題.格差の問題に日本はこれからどう向き合って
いくかということになってくる.
羽藤:効率性から公平性への大転換が起こりつつある.サルコジのパリ
計画もそうだけど,スティグリッツやセンを交えた議論が行われていて
ある一定の答えを,GDPだけではない経済評価,具体的には潜在能力
アプローチのようなことですが,行われている.既存の費用便益的アプ
ローチであればお得感の再配分を認知研究の中で盛り上げていくことが
問題で,そのあたりに答えがあるのではないだろうか.
日々野:政策研究大学院にいると,研究者が政策研究に入ってくという
のはどういうことか,比較分析的に行われていない.実務的な細かい話
とマクロな話をどう仕分けするか.国と研究者の間の対話がない.
朝倉:比較の仕方にオリジナリティがあるかどうかが重要.ただの事例
研究では難しい.
森川:統計のとき100人の学生がいて,TAがアンケート全部束ねて
もってきたらアホ,平均値,分散を出すのが重要.一生のライフログ生
データは10TBで収まる.しかし閲覧性が重要.新種の発見なのか,昆虫
が病気なのか.観測データを越えたところ,そういう集約のしかた,分
析が必要.現在の枠を超えたものを示していきたい.
朝倉:観測とかモデルであっても,立場を明確にすることが重要である.
それは,ボトムアップ的観測なのか,俯瞰的なものなのかを示したい
森川:オイラー型をちゃんとすることを考えたい.ETCを含めて,だ
んだんデータが出なくなる恐れがある.早いところ制度設計をしないと
いけない.変化が起こっているとしたら何かを考えたい.
毛利:実務で起こっていることを考えて,研究者は研究をやってほしい.
ぜんぜんデータとは違うことを話したような気もしているが,やっぱり
現場のことを考えてモデルやデータを議論することは重要だと思う.
羽藤(まとめ):いろいろ話してきましたが,僕自身は前回上田さんが
言っていたこと,飲み会会場に行ってしまったみたいですけど(笑),
時間を経ても変わらないこと,普通に眺めていては予見できないことを
理論が,あるいはデータの構造理解によってどこまで提示できるかが重
要ではないかと思っています.徹頭徹尾,そういう研究をしたいと思っ
ている.そのことには研究サイドの人間は異論はないと思っている.
では問題は何か.現場サイドと研究サイドの間にものすごい断絶がある
ということではないか.で,その断絶の理由を考えてみることにあるの
ではないかと思います.事例であれ,数理であれ,政策論を展開すると
き立体的な理解が必要となることは間違いありません.だからそいう立
体的な理解をどんどん徹底的に進めていくしかない.
そしてこの問題は,柏谷先生がくしくも都市をどう理解するかが重要だ
と,そのことにつながっていくような気がしています.単に数理的に時
間と空間を分解してその特性を数理的に解析していくスキルは重要です
が,いったん分解した変数を再構成し,何を理解しようとするのか,物
理でいえばくりこみ論のような話ですが,私たちはモデル化すべき時間
と空間のスケール,あるいは各々のスケールどうしの関係性についても
っとセンシティブであるべきなのかなと思いました.
計測技術ということにこの科研は焦点をあてている.行動の記録につい
ては,エスノグラフィなども含めてかなりのデータをフュージョンする
技術については一定の成果を出していきたいと考えている.その一方で
空間情報をスケールごとにどのように取り扱い,総体としての都市の問
題を扱うべきかについては,まだ多くの課題を残している.このあたり
については具体的な政策,あるいはサービスを想定していく中で考えて
いきたいと思っている.